学科日誌ブログ

文化社会学科ブログ

フィールドワーク⑦

2017年12月26日

さて、前回からの真珠のお話の続きですー

<真珠の養殖場を訪れる>
それでは、実際に真珠がどのように養殖されているのか。
10月から、三重県の志摩市にある英虞湾(あごわん)の養殖場を訪れて、見学をしています。

第1回目(10月)の見学
お昼にいただいたごちそう
・ワタリガニ
・アオサの味噌汁
・カツオの手こね寿司(台風がよく来るので、夏に収穫したお米です)
・バカ貝(アオヤギ)
・筑前煮(にしめ)など
魚、貝、海藻は、すべて、この目の前の海で獲れたものです。
アオサ、バカ貝は、養殖されているものです。
ワタリガニは、餌を入れたカゴを筏(いかだ)から吊しておくと、獲れるそうです。
静かなところ
「真珠も、ここで生まれるんやけど、すべての生き物が、ここに産卵に来る。何が来るかというと、メバルとかフグとかイカなんかでも、みんな産卵にくる。川魚のアユの稚魚とかも。すべての生き物は、こういう静かな所やないと、生まれない訳や」
筏(いかだ)の向こうには、対岸が見えています。湖のように静かな入り江です。
雨が降ると、陸から海に養分が流れる
この日は雨が降っていました。
学生は、景色のいい海なので、晴れていたらよかったのに、と言いました。
すると、養殖場の経営者からは、こんな返事がかえってきました。
「雨、降っとるやろ?
僕らは、いつも貝のことしか考えてへんから、
雨降ると、何を思うかいうと、
餌(えさ)が来る、餌が来る。
お母さんがおっぱいあげるみたいな感じで、
雨降って陸の落ち葉のところから水が流れて、
海に行って養分になる。
そしたら、海の中で植物性プランクトンが増えて、
それをアコヤ貝が喜んでパクパクパクパク食べる。
この英虞湾(あごわん)は、基本がエメラルド・グリーン。
ブルーじゃなしにグリーン。
何でかいうたら、植物性プランクトンだから、
植物性プランクトンが居るからね。
だから、真珠の養殖をしていると、この雨が嬉しい」

アコヤ真珠ができるまで
(1)1年目の春、
アコヤ貝の稚貝(ちがい=赤ちゃん貝)を購入して網に入れ、
筏(いかだ)から海中に吊す。
(2)冬になると、
南のほうの水温の高い海に、網ごと車で運び、
そこの筏で海中に吊す。
(3)2年目の春、こちらの海に戻す。
(4)2年目の冬、また南の海に運ぶ。
この時は、網から籠(カゴ)に移して、ぎゅうぎゅう詰めにする。
そうすると、冬の間にアコヤ貝が少しだけ弱る。(「抑制」という作業)
(5)3年目の春、
カゴの中で少し弱ったアコヤ貝をこちらの海に戻して、
貝の身のなかに、「核」を埋め込む。
この核の周りに真珠層が巻かれていく。
*元気なアコヤ貝に「核」を埋め込んでも、
異物として出してしまうので、少しだけ弱らせる。
そのかげんが、とても、むずかしい。
(6)3年目の冬。アコヤ貝から真珠を取り出す。
この間ずっと、1週間に1回は、
貝の外に付く牡蛎(かき)やゴミなどを落とす作業が続きます。
台風や津波が来ると、筏が壊れることもあるそうです。
百年前に、湖のような静かな英虞湾で始まった真珠の養殖は、
現在も、たいへんな労力をかけて行われていました。

Posted by 文化社会学科 │ 文化社会学科のブログ

tab