COLUMN01

美しい「腸内フローラ」を育てて
心身の健康を保つ

腸内フローラで生みだされる短鎖脂肪酸が
免疫細胞など全身の機能に影響!?
近頃よく耳にする「腸内フローラ」という言葉。腸の中に100兆個以上も住む腸内細菌が形成する集まりのことで、群生するお花畑(flora)のように見えることからそう呼ばれています。腸内フローラは、消化されなかった食物成分である食物繊維などを代謝して、アミノ酸やビタミン、脂肪酸などを生体内に供給しています。近年の研究により、腸内フローラで産生される短鎖脂肪酸(炭素の数が6個以下の脂肪酸)が、免疫細胞や全身の臓器の機能に影響を与えることがわかってきました。
たとえば、代表的な短鎖脂肪酸である酪酸は酪農製品の牛乳やバターに含まれ、それを多く摂食する人は、認知症になりにくいという臨床データもあります。逆に、腸内フローラのバランスを崩すことによる短鎖脂肪酸の減少などが、アレルギーや喘息、皮膚炎や肥満、糖尿病や高血圧、さらにはうつ病やがんなどにもつながるという研究結果も増えてきています。
腸内環境を整えることは
単に便秘だけでなく疾患を防ぐのにも重要!
腸内細菌の種類や腸内フローラの状態は、日常生活や食べ物によっても変わってきて、それが短鎖脂肪酸の産生量にも影響してきます。腸内の善玉菌を増やすには、ビフィズス菌をはじめとする善玉菌や、その栄養源となる食物繊維などを含む食品を摂ることも大切。善玉菌とそれを増殖させるオリゴ糖を一緒に投与すると、抗がん剤の副作用が軽減され、手術による合併症が減る研究結果もあります。腸内環境を整えることは、単にお通じを良くするだけではなく、疾患を防ぐのにも重要な役割を果たしているのです。
薬の場合は効用が強い一方で副作用もあるため、特定のターゲットに使用されるのに対し、食品は副作用がなく対象領域がきわめて広いもの。短期間投与される薬と違い、長年にわたって摂取されるため、その影響は大きなものです。また、過去のデータを解析することで、食品と疾患の因果関係を導きだすことも可能です。栄養面からの医療へのアプローチが、未来の健康を守る大きなカギを握っています。