maestro maestro
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現在はポリフェノールの健康機能を探る研究をメインに手がけています。 野菜や果物に豊富に含まれるポリフェノールは、抗酸化活性や抗炎症活性などの機能性を示すことが明らかとなっていますが、 大半は腸内細菌によって分解されると考えられるので、体内で機能性を発揮するためには腸管での効率的な吸収が重要だと言われてきました。 その一方で、ビフィズス菌や乳酸菌などの腸内有用細菌(プロバイオティクス)とポリフェノールの関係性は不明なままでした。 そこで、これらの有用細菌とポリフェノールの培養物について機能性評価を実施。抗炎症作用を解析した結果、ポリフェノールとビフィズス菌を培養した場合、 それら単独よりも強力な抗炎症活性が認められたのです。活性成分はビフィズス菌由来であり、ポリフェノールがその分泌もしくは生産を促進するという、新たな機能的相互作用を見出しました。
maestro maestro
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腸内細菌がポリフェノールを代謝分解して、別の形に変えるという研究は昔からありました。 私も当初は、腸内細菌によってポリフェノールから新しい化合物ができるのではという想定で研究を進めていましたが、 結果、ポリフェノールがビフィズス菌を活性化するという、まったく新しい現象を発見できたのです。ただ、その活性成分が何なのかは判然としてないため、調査を進めています。 炎症はさまざまな病気の原因となるので、抑制できれば動脈硬化や糖尿病などの予防や緩和にもつながるかもしれません。特に炎症性の腸疾患にはダイレクトに働きかけるでしょうから、 潰瘍性大腸炎やクローン病などの指定難病にも効果を発揮してくれることを期待しています。まだ試験管レベルの証明なので、ここからさらに、腸内で炎症を起こした動物モデルに投与したとき、 その炎症を抑えるかどうかを検証していく予定です。
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一口にビフィズス菌といっても多様な菌種があり、一つひとつ反応が違います。 ポリフェノールの種類も数多く、50種程度は反応を調べましたが、明らかに活性があったのは5種程度でした。 ただ幸いなことに、その一つが多くの野菜や果物に含まれるケルセチンだったため、摂取するのは容易です。 さらに、まだ予備実験の段階ですが、ポリフェノールと乳酸菌を組み合わせると、新しい機能性を引き出すことができそうだという成果も見えてきました。 それにより腸内の健康を整えられますし、食中毒や感染症の予防効果も期待できます。加えて、うまく加工すれば安全性の高い食品添加物として活用できる可能性もある。 この先は、日常の食事としてポリフェノールを摂ったときに期待できる効果を提案できるレベルまで、研究を発展させたいです。 いずれにせよこれらの研究成果は、野菜や果物とプロバイオティクス製品の組み合わせが有用であることを示唆してくれています。
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血糖値は 食後に上がってから下がりますが、下がる際に血糖は筋肉に吸収されます。 ならば高血糖を抑えるため、筋肉の糖を取り込む力を上げてくれる ポリフェノールを探そうと検証し、いくつか見つけたので特許も取得しました。 ポリフェノールやビフィズス菌、乳酸菌などの機能性については、食品メーカーなどから依頼を受けて検証することも多く、より機能性の高い製品開発に貢献できればと願っています。 もともとはポリフェノールの健康バランスを整えるという機能性に興味を抱き、研究を始めましたが、なかでも不明点が多かった腸内細菌との関連性に惹かれ、 注目し始めました。食は生命維持や成長のための栄養源となるだけでなく、身体の機能を整えるなど、さまざまな働きをしてくれるのが面白いところです。 常に最新の情報を提供できるよう努めますので、これから学ぶ皆さんの柔軟な発想と、これまで培った知見を組み合わせて、新たな可能性を探ってみませんか。
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川畑 球一 准教授[農学博士]
京都大学大学院農学研究科食品生物科学専攻研究指導認定退学。 日本農芸化学会、日本栄養・食糧学会(参与)、日本フードファクター学会(評議員)などに所属。 福井県立大学生物資源学部助教および講師、神戸学院大学栄養学部講師を経て現職。専門は食品機能学。 「フラボノールによるビフィズス菌の抗炎症活性増強効果」の研究で日本フードファクター学会の「Young Investigator Award」受賞。 機能性食成分によるプロバイオティクスの高機能化やメタボリックシンドロームの予防改善に関する研究を産学連携で進め、新しい機能性食素材の探索にも積極的に取り組んでいる。