COLUMN-“いのちのごはん”

食はひとの“いのち”をつむぐ、大切な大切なもの。
日々の食事は、生きるうえでの大きな楽しみでもあるでしょう。
だけど病気によって思うように食べられなかったり、食べたいと思えなかったり。
そんな患者さんたちの食を支えるのが、医療の現場でがんばる管理栄養士たち。
管理栄養士たちが出会った、大切な大切な、ひととごはんといのちのお話を少し。
column_pic01

column_title01

column_more_btn

化学療法を受けているがんの患者さんは、治療によって食欲がわかなくなることも多くあります。だから「化学療法食」として、食が進みやすい献立を考えるのも大切なこと。麺類だったり、おにぎりだったり。サンドイッチだったり、フルーツだったり。患者さんの病状はもちろん、一人ひとりの好みに合わせて、「食べたい!」「おいしい!」と思ってもらえる食事を細やかに考えます。そんな満足度の高い病院食を提供することで、「食事の時間が待ち遠しい」なんてうれしいお言葉も。食べられる量とともに笑顔の数も増えていくのです。
column_pic02

column_title02

column_more_btn

食事が喉を通らず「何も食べたくない」と嘆く胆管がんの患者さん。ご自身のせいじゃないのに、自分がわがままなんだと責めてしまわれる。そうじゃないですよと伝え、何気ない会話を続けたところ、「手術前に食べた茶碗蒸しがおいしかった」とぽつり。「明日の昼食にご用意できますよ。しっかり食べられるようになって、おうちに帰りましょうね」と声をかけると、やさしく微笑んでくださいました。この茶碗蒸しをきっかけに食事が摂れるようになり、栄養状態も回復。記憶と重ねた最初の一口が大きな一歩となり、退院へとつながりました。
column_pic03

column_title03

column_more_btn

卵巣がんのステージⅣと診断された患者さん。ほとんど食事がとれず痛みに苦しむお姿に、管理栄養士として何かして差し上げたいと強く思い、時間をかけて野菜の旨みを引きだした「いのちのスープ」をお届け。患者さんから「心と体に沁みました」と感謝の言葉をいただき、そこから食事を進めることができました。病院では患者さん一人ひとりの症状に合わせてアラカルト食を提供。「化学療法の副作用に苦しんでいたときに出してもらったソーメンで、何度も命がつながりました」との声も聞かれるなど、“いのちのごはん”も人それぞれだと感じています。
column_pic04

column_title04

column_more_btn

口腔外科には、舌がんの手術のため入院され、食事が困難になる患者さんが多くいらっしゃいます。医師や看護師、薬剤師たちと連携して栄養管理に努める栄養サポートチームで関わったことのある高齢の患者さんは、やむなく舌を切除されてしまった方。食べ物を口にすることすら難しくなりました。うまく飲み下せるようになるには、大変な訓練が必要。そのための嚥下訓練食を提供する度に、いつも一生懸命、努力を重ねられるのです。毎回の食事と真剣に向き合われるお姿を拝見し、「生きるために食べる」ことの尊さが胸に沁み入りました。
column_pic05

column_title05

column_more_btn

慢性腎不全の食事療法は、家庭ではとても難しいもの。塩分制限に加え、たんぱく質も抑えなければならず、管理が大変です。印象深かったのは、熱心に外来の栄養指導室に通われていた、ある高齢の男性患者さん。アドバイス通りの食事を毎日、ご自分で計量して管理をされていました。召し上がったものを丁寧に記録した食事日記も毎回の指導に持ってこられ、わからないところは熱心に質問。その方の腎不全は良好にコントロールされ、畑仕事などをされるほど元気な生活を送れるように。健康を取り戻すための努力と食の大切さを改めて教えていただけました。