甲南女子大学医療栄養学部の協定病院として実習生の受け入れも予定している医療現場から
管理栄養士を中心とするチーム医療の最前線をご紹介します。

子どもたちに食の大切さを伝えられるやりがい

食事の時間をともにしながら
子どもたちと喜びを共有できる

神戸市北区にある幼保連携型認定こども園「山のまち」は、木のぬくもりあふれる、広々とした造りの認定こども園。のびのびと活動できるプレイルームや開放的な園庭を備え、年齢や発達に応じた保育が行われています。集まっているのは、0歳児から5歳児までの子どもたち。ここに勤める管理栄養士の仲麻奈実さんは、離乳食も含め、毎日のおやつやお昼ごはんを担当しています。「栄養価を考えながらバランスのとれた献立を作成し、調理師らと協力しながら、園内の厨房で調理もしています。ただ提供するだけではなく、同じ場所で一緒に食べるので、反応がダイレクトに返ってくるのですが、子どもは味の感想も正直。『おいしい!』という喜びはもちろん、苦手なものが克服できた喜びも共有できて、うれしくなります。」(仲さん)

食文化やマナー、栄養について
おいしく楽しく教える食育

メニューには、旬の素材はもちろん、四季折々の行事食や古くから伝わる郷土料理なども取り入れ、日本の食文化も伝えます。正しいお箸の持ち方といった食事のマナーの指導や、各食材がもつ栄養についての説明なども担当。食育にも力を入れています。「たとえば食材を『血・骨・筋肉をつくる赤色』、『身体の調子を整える緑色』、『力や体温をつくる黄色』に分類。食育のキャラクターを使って教え、実際の給食でチェックしてみるなど、おいしく楽しく、食について学べるようにしています。」(仲さん)
入園初日には、ご自宅でどのような食事をしているかお話をうかがい、各家庭の特徴を確認。園の給食を保護者の方に召し上がってもらい、ご意見をいただくようにもしています。「主に煮物や焼き物など、近ごろ手づくりされないご家庭も多くなった“おふくろの味”を提供するよう心がけています。薄味ながらも食材の味がしっかり出るように工夫しているので、保護者の方にも評価いただけると嬉しいですね。」(仲さん)

育てること、つくることを体験し
成長していく姿は感動もの

体験型保育を重視している「山のまち」。園庭で野菜を育てて収穫したり、近隣の畑へ芋掘りに行ったり、田植えから稲刈りまで経験したりと、食の尊さを体感する機会もたくさん用意しています。育てることの大変さを感じて、感謝する気持ちをもってもらいたい。そんな願いが込められた保育方針です。
5歳児のクラスでは、月に1回ほど「クッキング」の時間を設け、管理栄養士が保育士と連携しながら料理を指導。最初はタケノコの皮むきなど簡単なことから始め、徐々に包丁を使った料理にもチャレンジ。「食育を通じた子どもたちの成長ぶりは感動ものです。ピーマンが嫌いだったけど、自分たちが育てたものでつくったピザならおいしく食べられるようになるなど、苦手を克服できる子もたくさんいます。もともと子どもが大好きだったのですが、食の奥深さに惹かれて管理栄養士になりました。ここは、どちらの夢も叶えられる最高の職場です。」(仲さん)

医療的な栄養の知識とともに
幅広い視野も欠かせない

食物アレルギーには個別に対応。服用する薬によってはとってはいけない食材もあるので、材料にどんな成分が含まれているか熟知しておくことも必要です。「メニューによっては代替食を考案することもあります。医療的な栄養の知識とともに幅広い視野も欠かせません。」(仲さん)
「生まれ月によっては、まだ家庭で離乳食も始めていない子も入園します。食嗜好形成の進む重要な時期に関わるのは責任重大ですが、その分、やりがいもひとしおです。」と仲さんは語ります。「成長著しい子どもたちが、食べて、育っていく過程を間近で見られ、毎日が充実感に満ちています。一人ひとりに適した栄養をきちんととることが、生涯にわたって健康に生きることの基本です。食の大切さやおいしさと同時に、みんなで囲む食事の楽しさも知ってほしい。ただ栄養をとるためだけの食事ではなく、友だちや家族と一緒に味わう食事の楽しさも伝えていきたいですね。」(仲さん)