甲南女子大学医療栄養学部の協定病院として実習生の受け入れも予定している医療現場から
管理栄養士を中心とするチーム医療の最前線をご紹介します。

生涯にわたり食べることを楽しみ続けてもらえるように

栄養や機能性を科学的に研究し
商品の開発や改良につなげる

株式会社 明治の研究開発は、「菓子開発研究所」、「食品開発研究所」、「食機能科学研究所」、「技術開発研究所」、「品質科学研究所 」という5つの研究所と、「研究企画部」で構成された「研究本部」として行われています。なかでも食素材の栄養や機能性を科学的に研究し、得られた知見やデータを商品の開発や改良につなげているのが「食機能科学研究所」。管理栄養士の国家資格をもつ市川聡美さんは、美容と健康のためのコラーゲン食品について研究するグループで、動物実験や臨床試験などを行っています。「コラーゲンと一口で言っても、魚由来や豚由来など、種の違いによって特徴はさまざま。どのような食品成分が効果的なのか、どんな機能性を有するのかなどを研究しています。」(市川さん)

自身も消費者として手に取れ
利用者の喜びの声を耳にできる

臨床試験では、皮膚の外側に蒸散される水分量や、内側に保持される水分量、肌の弾力性や血中成分などを測定。皮膚画像解析装置を使って、シミやシワ、毛穴なども確認します。商品化の際には、分子量が大きいコラーゲンを、酵素で短く切った「コラーゲンペプチド」の状態にしますが、その切り方によっても結果は異なってくるもの。効果が高く得られる形状がわかれば、少量でも効率よく摂取できるようになるのだそうです。「発売当初は匂いが気になる、飲む量が多すぎるといったご意見もありましたが、研究が進むにつれ改良型の商品を開発でき、ますます日々の生活に取り入れやすくなってきました。研究の成果が商品という形になって世に出るのは、大きなやりがいです。自身も一般消費者として手にとって利用でき、皆さんの喜びの声を伺える部分にも喜びを感じます。」(市川さん)

全身を守る肌の健康を保つには
コラーゲンの効果的な補給が大切

すでに水分の保持機能や蒸散を防ぐバリア機能などに関する学術論文が数多く報告されているコラーゲン食品。肌の弾力はコラーゲン分子の集まった線維で支えられているため、コラーゲンの効果的な補給は、美容面に限らず、健康な肌を保つために重要だと考えられます。皮膚は人体最大の臓器であり、生体防御の最前線に立つもの。「昔に比べて夏の気温が上がり、紫外線が強くなるなど、地球温暖化に伴い、環境が与える肌への影響も激変してきました。男女問わず意識的に何かを補わなければ、その刺激から自身を守れないのではと感じています。私自身、皮膚が弱く、紫外線ケアの商品を塗ると肌が荒れてしまうので、食べることで内側からバリアできる商品の追究は重要なテーマなんです。」(市川さん)

健康を支える食品も幅広くなり研究開発のニーズは高まる一方、高齢化が進むにつれ、いわゆる健康食品に限らず健康のために摂取される商品はとても幅広くなってきました。臨床試験では医師が立ち会い、食品成分が皮膚の生理機能にどう影響しているかなど、医学的な立場から評価するため、医療栄養の知識は欠かせません。自分の研究が社会のなかでどういう位置づけにあるのかを明確に俯瞰できるのも、企業における研究職の面白さだと市川さんは語ります。「もともと徳島大学医学部の栄養学科(現:医科栄養学科)に進学したのも、医学に立脚した栄養学を学べば、将来の選択肢が増えると思ったからです。寺尾純二先生(本学医療栄養学科学科長に就任予定)の研究室で食品機能の研究を進めたことが、今につながっています。健康によい食品を積極的に生活に取り入れる人たちが増え、研究開発のニーズは高まる一方、医療栄養を学ぶ人の活躍の場は、ますます広がっていくでしょう。」(市川さん)